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企ふるトレンド 海の森を取り戻す挑戦─南伊勢町が描く「藻場再生」と「新たな海藻栽培の未来」

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海の森を取り戻す挑戦─南伊勢町が描く「藻場再生」と「新たな海藻栽培の未来」

三重県 南伊勢町

公開日 : 2025年12月19日 環境保全、 農林水産業
藻場再生と海の未来づくりに挑む、南伊勢町職員のみなさん

【画像】藻場再生と海の未来づくりに挑む、南伊勢町職員のみなさん

三重県南伊勢町では、失われつつある藻場の再生と新たな海藻栽培技術の確立に挑戦しています。パートナーは、海藻の栽培研究で知られる合同会社シーベジタブルです。海の環境変化、漁業者の高齢化、そして地域産業の未来に向き合いながら、企業版ふるさと納税を活用し「海の再生」と「地域の持続」を両立させる取り組みを始めています。今回は南伊勢町水産農林課の羽根俊介さんにお話を伺いました。


海藻栽培研究のプロと組んで海の生態系を取り戻す


「南伊勢町では、以前から漁業者の育成など水産業振興に力を入れてきましたが、海洋環境の変化を受けて海洋保全にも取り組むようになりました。そのなかで、海の基盤を支える藻場再生に注目が集まったのです。高知や熊本、三重など各地で活動する合同会社シーベジタブルとは、数年前にも試験的な海藻栽培の実験に一緒に取り組んだことがありました」と振り返る羽根さん。
今回の連携は、三菱UFJフィナンシャル・グループが実施する「推しごとクラウドファンディング」がきっかけでした。この仕組みを通じて、合同会社シーベジタブルが海藻栽培の実証事業を提案し、南伊勢町が共同事業として応募。2025年8月から本格的に動き出しました。
「同社は、自らの知見を全国に広げ、日本の沿岸を守ろうという壮大なビジョンをもつ企業です。今回は大規模の海面栽培に挑戦するということで、町にとってもチャレンジングで大きな一歩となります。町内外の知見を結集して、海の再生を目指します」と羽根さんは意気込みを語ります。

藻場機能再生の舞台となる、リアス海岸の美しい入江

【画像】藻場機能再生の舞台となる、リアス海岸の美しい入江

魚が育ち、いのちが循環する「海の森づくり」


この事業の目的は、単に海藻を育てることではありません。失われた藻場と同等の藻場機能を再生し、海の生態系そのものを取り戻すことにあります。南伊勢町周辺では、海水温の上昇や食害生物によって藻場が失われる「磯焼け」が深刻化しています。
「一般社団法人グッドシーの調査によると、海藻を栽培することで天然藻場と同じような機能があることが確認されています。藻場が戻れば、そこに海藻を食べる魚が集まり、さらにそれを捕食するより大きな魚も戻ってきて、人間が食べられる魚も集まってきます。海藻は食物連鎖の出発点であり、漁業の根っこなのです」と羽根さんは熱く語ります。

磯焼けが進む海で、再生の鍵となる海藻

【画像】磯焼けが進む海で、再生の鍵となる海藻

高齢化する漁業を支える、新たな希望としての海藻栽培


南伊勢町の漁業者の平均年齢は71歳に達しています。今後10年で引退が相次ぐことが予想され、担い手不足は喫緊の課題です。さらに、海洋環境の変化により魚種も大きく変動しています。
「まき網漁や定置網、養殖漁業など、南伊勢町の漁業種は多様で、各地域に合ったものに取り組んでいるのですが、それでも海洋環境の変化に対応しきれていない部分があります。それを解決する一つの手段が海藻栽培です。漁業の多角化や所得安定化の手段として期待されています。既存の定置網やアオサ養殖などと競合しない新たな海域を選んで海藻栽培を検討しています。新しい海藻の栽培方法は、いまある漁業を壊すのではなく、支えるためのもう一本の柱です」と語る言葉に、現場を知る羽根さんの強い思いがにじみます。

海藻栽培の適地を見極めるため、町内の各地を調査

【画像】海藻栽培の適地を見極めるため、町内の各地を調査

実証から事業化へ、3年計画で挑む海の未来


1年目の2025年11月~2026年3月は、海藻栽培の適地調査と実証実験を行います。潜水による藻場の確認や魚の生息調査を行い、冬季にはモズク、ハバノリといった海藻を試験的に栽培する予定です。2年目以降は中規模試験に移り、収益性など経済的な検証に取り組みます。経済面での課題をクリアできれば、3年目には栽培事業を地域の漁業者や新規参入者へ引き継ぐ仕組みを整える計画です。
「海藻がうまく育ったとしても、課題はあります。それは販売先の確保です。その点、合同会社シーベジタブルは新たな市場の開発にも挑戦している企業なので、流通や商品化の面でも相談ができます。将来的には伊勢志摩エリア全体で海藻が流通する仕組みをつくりたいですね」と羽根さんは展望を語ります。

海の再生に向け、現場で力を合わせる羽根俊介さん(左)とこの事業のメンバー

【画像】海の再生に向け、現場で力を合わせる羽根俊介さん(左)とこの事業のメンバー

企業とともに取り組む、豊かな海を未来へ残す挑戦


この事業は環境保全のみならず、町の漁業を未来へつなぎ、地域に雇用と希望を生み出す地方創生の取り組みでもあります。
「企業版ふるさと納税を通じて支援を募るにあたり、町が大切にしていることは“共感と継続”です。海を守るという理念に共感してくださる企業と、長くともに歩んでいける関係を築きたいですね。そして個人的には、この取り組みを通じて南伊勢町という小さな町の可能性を知ってもらえたらうれしいです。海を未来へ残す挑戦に、ぜひ関心を寄せてください」と羽根さんは締めくくってくれました。
三重県下一の水揚げ量を誇る港がある町で、海の森を再び取り戻す挑戦が、いま、始まっています。
(南伊勢町×合同会社シーベジタブル連携) 養殖藻場・海藻生産実証事業

語り手

南伊勢町水産農林課

羽根俊介さん

自治体

三重県 南伊勢町

 
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