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企ふるトレンド 通過点だった町が「立ち止まりたくなる目的地」になる。長崎県時津町が描く、新しい道

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通過点だった町が「立ち止まりたくなる目的地」になる。長崎県時津町が描く、新しい道

長崎県 時津町

公開日 : 2026年5月28日 観光・交流

取材者 宮森祐巳子 / 言の葉・ライター

岩の上に岩が乗った奇岩「鯖(さば)くさらかし岩」

【画像】岩の上に岩が乗った奇岩「鯖(さば)くさらかし岩」

長崎空港から高速船でわずか25分。大村湾に面した長崎県時津町は、古くは大名や幕府の役人が利用した「時津街道」の拠点であり、宿場町や港町として栄えた歴史をもちます。現在も交通の要衝としての利便性を誇りますが、その一方で「渋滞がひどい町」「目的地へ向かうための通過点」というイメージが定着してしまっているという課題も抱えてきました。
この現状を打破し、時津町を「わざわざ訪れたくなる目的地」へと変貌させる挑戦が始まっています。このプロジェクトの核心にある想いについて、時津町総務部戦略推進課の鬼塚洋平さんにお話を伺いました。


通過型観光から脱却し「選ばれる目的地」へ


時津町は交通量が非常に多く、大型商業施設や病院が集まる便利な町ですが、来訪者の多くは買い物などの用事を済ませるとすぐに次の目的地へ移動してしまいます。鬼塚さんは、この「通過型」の状況を改善し、滞在や周遊を促すことが地域活性化の鍵であると考えています。
「町外の方に時津町のイメージを伺うと、町そのものを楽しむ目的地としては認識されてこなかったのが実情です。せっかく空港からのアクセスが良い立地にあるのですから、時津町の隠れた魅力を掘り起こし、『ちょっと足を延ばしてみよう』と思える情報発信を強化することで、滞在型・周遊型の観光地へとアップデートしていく必要があると感じています」と鬼塚さん。

本プロジェクトで新たに整備した散策路のマップ

【画像】本プロジェクトで新たに整備した散策路のマップ

空と海を結ぶ最短ルートで歴史と現代が重なる「時津街道」へ


プロジェクトの柱の一つが、江戸時代に大名も利用した「時津街道」のブランド化です。
「時津街道という言葉自体、地元の若い世代にはあまり知られていませんでしたが、実は歴史的に非常に価値のある、町が誇る観光資源です。さらに、高速船を利用すれば空港からわずか25分という短時間で、渋滞を気にせず美しい大村湾を眺めながら移動できます。この『歴史的な街道』を現代の交通の利便性と掛け合わせることで、時津港を起点とした新たな旅の形を提案したいと考えています。歴史を感じながら散策やサイクリングを楽しめる環境を整え、町の第一印象を『便利な通過点』から『情緒ある旅の始まり』へと変えていきたいですね」と鬼塚さんはプロジェクトにかける想いを語ります。

散策路の入口に設けられたハート型のモニュメント

【画像】散策路の入口に設けられたハート型のモニュメント

合格祈願に加えて縁結びの地にも。「鯖くさらかし岩」の再定義


時津町には「落ちない岩」として受験生に人気のパワースポット「鯖くさらかし岩」があります。
「これまでは国道から見上げるだけだった岩のすぐそばまで行ける散策路を新たに整備しました。また、岩が重なっている姿から人と人を結ぶ『縁結び』の象徴としてもブランディング。散策路の入口にはハート型のモニュメントを設置しました。季節を問わず、多くの方が訪れて笑顔になれるような、新しい町のシンボルに育てていきたいですね」と今後の展望を語る鬼塚さん。

穏やかな内海、大村湾に停泊する漁船

【画像】穏やかな内海、大村湾に停泊する漁船

AR技術と映画で時津町の魅力を多くの人に届ける


情報の拡散性を高めるため、プロジェクトではデジタル技術の活用にも積極的です。モニュメントにスマートフォンのカメラをかざすとキャラクターが浮かび上がるAR(拡張現実)技術を導入。さらに、町を舞台にした縁結びムービーの制作も計画されています。監督を務めるのは、映画「サバカン SABAKAN」を手がけた時津町生まれの金沢知樹氏です。
鬼塚さんはこう語ります。
「訪れた方にいかに楽しんでもらうかを考えた結果、AR技術による仮想体験という答えに行き着きました。スマートフォンを通じてキャラクターやメッセージが浮かび上がる体験は、SNSでの拡散も期待できます。また、3年間のプロジェクトのなかでは映画制作も進めています。映像を通じて時津町の風景や空気感を全国に届けることで、映画の世界観にふれたいという新しい層の来訪につなげていきたいと考えています」

「幸せを運んでくる港」としての誇りを次世代へつなぐ


本プロジェクトでは、寄付企業に対してユニークなベネフィットを用意しています。一定額以上の寄付を行った企業の社名入りのハート型モニュメントを新たに設置することができます。寄付を単なる資金提供に留めず、町の風景の一部として形に残すことで、企業との継続的なパートナーシップを築ければと考えています。
「企業の皆様には、私たちの取り組みをともに楽しんでいただき、イベントなどを通じて継続的な関係を築いていければうれしいです。こうしたプロジェクトを通じて町が賑わう様子を見ることは、地元の子どもたちが自分の生まれ育った町に自信をもつことにもつながります。『時津』という地名には『幸せを運んでくる港』という意味が込められています。来訪者、支援企業、そして住民の幸せが交差するような、活気ある町を創り上げていきたいです」とプロジェクトが目指す未来について、鬼塚さんは熱い言葉で締めくくってくれました。


シティープロモーションの強化~現代版時津街道を軸とした観光プロジェクト~
デジタルイラストマップ制作~現代版時津街道を軸とした観光プロジェクト~

語り手

鬼塚洋平さん

時津町総務部戦略推進課

鬼塚洋平さん

自治体

長崎県 時津町

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