様々な施策を通じて村を活性化! 目指すは人口400人~高知県大川村~
【画像】緑豊かな山あいの村・大川村
高知県最北、吉野川の源流域に位置する人口約350人の大川村。標高約1,000m級の山々に囲まれ、手つかずの自然がすぐそこにあります。2025年9月現在、離島を除き、日本で2番目に人口が少なく、深刻な人口減少と高齢化に伴い、村は厳しい財政状況が続いています。企業版ふるさと納税制度を積極的に活用した様々なプロジェクトの推進による村の活性化と人口400人の維持を目指す大川村の企業版ふるさと納税担当者にお話を伺いました。
離島を除き日本で2番目に人口が少ない村。かつては鉱山で栄え、約4,000人が暮らしていた
今回お話を伺ったのは、大川村むらづくり推進課の長谷川賢虎さんです。「現在、村の人口は約350人です。人口を維持していくことはもちろん、将来の重点目標である『人口400人の維持』を達成できるよう、今回、4つのプロジェクトを推進し、寄付を募っています」と長谷川さんは話します。
「大川村には、かつて高知県第1、四国では第3の規模となる銅の鉱山(白滝鉱山)があり、全盛期には、鉱山労働者やその家族など約4,000人が暮らしていました。しかし、昭和47年(1972)に閉山。追い打ちをかけるように、翌年の昭和47年(1973)に、四国で一番大きい早明浦ダムが完成し、村の中心部がダム湖の底に沈むこととなりました」と長谷川さん。その後、人口減少が加速化し、現在、離島を除き日本で2番目に人口が少なく、村の存続が危ぶまれているのです。
【画像】村唯一の学校「大川村立大川小中学校」
『ふるさと留学(山村留学)事業』を通じて将来的にまちの活性化につながるように
大川村では現在、4つのプロジェクトを推進しています。まず1つ目の『ふるさと留学(山村留学)事業』は、都市部を中心とした高知県外在住の子どもたちが親元を離れ大川村へ「山村留学」してもらう取り組みです。「村には大川村立大川小中学校の1校しかなく、小学1年生から中学3年生まで合計約30名、1学年あたり数名という小さな学校です。村の子どもたちと留学生との交流を深め刺激を受け合うことで、ともに学ぶ環境を整えたいと考えています」と長谷川さんは話します。ふるさと留学(山村留学)事業は、昭和62年(1987)にスタートし合計約約300人が村に留学。卒業後に村を離れても、地域おこし協力隊として再び訪れてくれる人もいるといいます。「2025年は合計12が留学生として在籍し、村の子どもたちと肩を並べて学んでいます。こうした取り組みを通じて地元企業に就職するなど、村の活性化につながってほしいです」と語ります。
ふるさと留学(山村留学)事業
【画像】村の特産品「大川黒牛」と「土佐はちきん地鶏」
地場産業である大川黒牛と土佐はちきん地鶏のブランディング化を目指す
2つ目は『大川村地場産品販売単価向上プロジェクト』です。「大川黒牛と土佐はちきん地鶏が村の主な地場産業です。大川黒牛は幻の牛ともいわれ、但馬牛の血統を受け継いだ黒毛和種で、大川村が誇る唯一無二のブランド牛です」と長谷川さん。「大川黒牛の現在の出荷頭数は年間50頭前後です。まず取り組むべきことは出荷頭数を増やすことです。そのためには繁殖牛舎の改修だけでなく、事業継続に向けた後継者を確保しなければなりません」と今後の課題をあげます。「大川黒牛は、さしがきめ細く入っており、上品な脂の旨味が感じられます。毎年11月に村で開催される謝肉祭は、大川黒牛や土佐はちきん地鶏を炭火焼で堪能できるイベントで、毎年、町外から1,500人が訪れます」と長谷川さん。大川村でしか食べられない大川黒牛は、知名度が低いのでまずは知ってもらうことが大切だといいます。3つ目のプロジェクト『幻の黒毛和牛をブランディング!「大川黒牛」飼育数増頭プロジェクト』でも、大川黒牛の飼育数を増やし、ブランド力向上を目指しています。
幻の黒毛和牛をブランディング!「大川黒牛」飼育数増頭プロジェクト
【画像】雄大な山に抱かれた「自然王国 白滝の里」
廃校を活用した施設「自然王国 白滝の里」の修繕を行い、村の活性化へつなげる
4つ目のプロジェクトは『「自然王国 白滝の里」を整備し、自然体験と環境保全の拠点へ』です。四国山地に抱かれた標高約750mにある「自然王国 白滝の里」は、旧白滝小中学校をリノベーションした宿泊施設です。しかし、築60年経過し、老朽化が課題となっています。「数年前、改修事業を推進していましたが、新型コロナウイルスの蔓延により、とん挫。財政的に厳しく、現在は計画がストップしています。寄付をいただき、再スタートさせ、気運を盛り上げたい」と語ります。改修にあたり、木材として利用しない部分や枝葉などを発電燃料として活用するなど、環境への配慮を考えた方法を取り入れる計画です。
「自然王国 白滝の里」を整備し、自然体験と環境保全の拠点へ
【画像】大川村むらづくり推進課の長谷川賢虎さん
映画のロケ地になるなど話題も。人口増を目指し、様々な施策に取り組んでいく
どのプロジェクトも、地域を活性化し、将来的に人口400人を目指すという目標を軸に展開しています。「関係人口を増やすこと、村の産業を確立し雇用を生み出すことが大切です。小さな村ですが、土佐はちきん地鶏や大川黒牛をはじめ、知られざる魅力が数多くあります。また、今年8月~9月には、村を舞台にホラーやSF、ファンタジーの要素を盛り込んだ青春映画『森のアリエル(2026年公開予定)』の撮影が行われ、村に活気が生まれています。企業版ふるさと納税を通じ、ぜひお力をお貸しください」と締めくくってくれました。
「まるごと大川」ブランディングを核とした大川村地場産品販売単価向上プロジェクト
語り手
大川村むらづくり推進課
長谷川賢虎さん
自治体 |
高知県 大川村 |
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